歯並びは遺伝するのか?

2018/7/5

かわいい-サル

 皆さんは歯並びの悪いお猿さんを見たことがありますか?多分ないでしょう。もしお猿の歯医者さんから話を聞ければ良いのでしょうが、どう考えても歯並びが悪い人がゴロゴロいる人間とは比べものになりませんよね。ではなぜそんな不公平があるのでしょうか。

 その理由の一つは、お猿さんの歯並びは顔の前に飛び出しているからなんです。一方、人間は歯並びを顔の中に収めてしまいました。なぜなら人間は脳をドンドン発達させてしまったので、脳みそが歯並びを飲み込んでしまったのです。

 普通の動物ならば、口元が出っ張っていないと水を飲むのにも苦労するはずです。けれど、人間は手を使って水を飲むことができますし食器も作り出したので、それを利用することもできます。ですから歯並びを顔の中に入れてしまっても、人間は何も不自由しなかったのです。

 さて、話は戻って、顔の中に収まってしまった歯列は、周りの分厚い頬や唇から潰される力を受けるようになったのです。自らの筋肉が自らの歯列を潰して歯並びを悪くするなんて、信じられないかもしれませんが、これが現実なのです。でも大丈夫!人間にはそれに対抗する手段があるのです。それは舌の力です。舌が歯並びを内側から支えて、頬や唇からの力を打ち消しているのです。

 歯並びは(頬や唇から)潰されながらも(舌によって)広げられるという、一見無駄とも思えることをしていますが、結局のところ、生まれて後で筋肉によって歯並びが整えられることになりますので、歯が多少歪んで生えてきても綺麗に並ぶ仕組みになっているのです。ということは、たとえ遺伝の影響があったとしても大丈夫だということになります。つまり歯並びは遺伝するなんて話はウソなのです。むしろ、遺伝の影響を排除するために、歯列周りの筋肉が頑張っているとも言えるのです。

 とはいえ、舌の力が弱い両親をもつ子どもは、やはり舌の力が弱くなりがちだとは言われていますし、舌の力が弱いお母さんからはやはり舌の力が弱い子どもが生まれやすいとも言われています。そして食生活も舌の力は影響しますので、あたかも悪い歯並びは遺伝しているように見えるのは事実ですね。

 ということは、この原理を応用すれば「歯並びは遺伝のせいだ!」と決めてかかる必要はなく、歯列を取り囲む筋肉、とりわけ舌と頬の筋肉を整えさえすれば、歯並びはよくなるということです。これを応用して、予防矯正に取り組む歯科医院も増えてきています。今や歯並びの悪さは予防できる時代なのです。

 こうした歯並びの仕組みを教えてくれたのが、MFT (myofunctional therapy:口腔周囲筋機能療法) というアメリカの学問でした。その学問によれば、舌の先は常にスポット・ポジションにつけ、舌全体を上顎歯列弓に収めてておかないと、頬や唇の力に負けて歯並びは悪くなるとされています。

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スポット・ポジション

 解剖学的には中切歯の後ろにある切歯乳頭と呼ばれる場所です。この切歯乳頭は中切歯の後ろの生え際(歯頸)と少し距離がありますので、舌は直接前歯とは接触しないのです。


reference
https://pixabay.com/ja/モンキー-動物-野生動物-自然-動物園-かわいい-サル-832261/
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